顔をあげて。そばにおるで。~尼崎市の就労促進相談員の仕事~

著者は兵庫県尼崎市で「就労促進相談員」をしていた林美佐子さんという人。就労が可能な年齢(15歳~64歳)で生活保護を受けている人たちに、働いてもらえるようにさまざまなサポートをするお仕事だとか。

 

以前にケースワーカーの人の仕事ぶりを紹介した本「実録! 熱血ケースワーカー物語」を読んだことがあるので、生活保護受給者のサポートをする市役所で働く人たちの仕事ぶりについてはなんとなく把握していたのですが、「就労促進相談員」の人たちは、そのケースワーカーの人たちと連携しながら市役所で働くスタッフではあるが、手取り月給15万ほどの契約社員だそう。

林さんは二人のお子さんを育てるシングルマザーでもあり、収入も多くないため、ご本人も社会的には「弱者」に分類されるのでは、と本書にも記してありました。

 

生活保護といえば、落ちるところまで落ちた人がもらうもの、というイメージがありますが、病気やけがである日突然働けなくなることは誰にでもあるものだからこそ、市役所に相談できる窓口があったり、相談できる人がいるということはすごく大切なことだよなあ、とこの本を読めば心から思います。

 

病気やケガで、どうしようもない気持ちを抱えている人、「どうして自分だけこんなにつらいんだろう?」みたいな気持ちが頭から離れなくて落ち込んでしまう人は、読んでみると気持ちが晴れるかもしれません。私も、子どもがまだ赤ちゃんだった頃に父がなくなり、母がうつ病になり、自分も白血病になって、「なんで自分ばっかりこんなに辛いんだろう?」とよく暗い気持ちになっていました。この本の中には、もっともっとすごい状況でも、前向きに生きている人がたくさん登場します。不幸とは人と比べるものではないけれど、それでも、「生きていればいろんなことがあるよなあ」と、狭まった視野を広げてくれるのではないでしょうか。