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万寿子さんの庭

 20歳の主人公・京子と78歳の万寿子さんというおばあさんが半世紀の年齢差を超えて「友達」になる様子を描いた小説。

初対面なのに「斜視」である京子にいきなり「寄り目」だ「ブス」だの、ズケズケ言ってしまう、チョット風変わりな万寿子さん。

いろんな嫌がらせを受けて、怒り心頭の京子だったが、この「普通じゃない」万寿子さんとのやりとりを通じて、意外にも2人は友達になっていく、、というあらすじ。
大人になれば、持病とか、見た目の話とか、勤務先企業名とか、出身大学とか、誰かの「コンプレックス」に繋がるようなことは、普通、話題にしなくなる気がします。
でも、万寿子さんと京子のやりとりや、京子とほかの登場人物とのやりとりを読んで、そういう気遣いが人の心に壁を作ってしまうんだな、と気づかせてくれる本でした。
ここ1年くらいで、ようやく自分のことを素直に人に話せるようになってきたような気がする私。引き続き、自分の心に嘘をつかずに生きていきたいな、と思ったのでした。

京子の母親は白血病で私と同じ病気で、京子が子ども時代に亡くなるという設定。更に、主人公も斜視という悩みを抱えている。病気を抱えた家族がいる世界はどういう世界なのか、フィクションだけど、読んでいるとリアルに想像ができる。病気を抱えていきているのは、私だけじゃない、と勇気が出てくる。

いわたさんが私に伝えたいことがなんとなく、わかってきたような気がする。

確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンUSJ)のV字回復の裏に存在した「数学マーケティング」について、詳細に書かれた本。著者はUSJでチーフ・マーケティング・オフィサーを務めた森岡毅さんと、USJのシニアアナリストの今西 聖貴さん。

森岡さんは元P&G世界本社のブランドマネジャー、USJに入社後、集客数を5年で660万人も増やしUSJを日本一にしたのは有名なお話です。一方、リサーチャーで需要予測家の今西氏は元P&G世界本社の最高頭脳の一人として、世界の第一線で活躍したそう。

本著の前半は、選ばれるブランドになるためには何が大切なのか、数学マーケティングを使って辿り着いた「正解」が紹介されます。

数多くあるマーケティングの本の中で、その主張を確かにする根拠がここまでしっかりと示されたものって、ほかに見たことがないように思います。森岡さんによれば、その正解を追い求めることだけが、企業がやるべきことだと明言されています。

紹介される数式はやや難しいので、文系の人にはすぐには理解できないと思いますが、その数式を補うように、たくさんの文章での説明もセットになっているため、読むだけでその「ニュアンス」はなんとなく理解できると思います。それをどう自分のビジネスに応用するのか?を、それぞれ考える必要がありそうです。

8章の「マーケティングが機能する組織」というところは、中でも私の心をかき乱す章でした。森岡さんによれば、マーケティングが機能する組織にするために多くの経営者はたくさん「誤解」しているとか。

「抜群に優秀なマ ーケタ ーを 1人雇えれば 、自社の経営は大きく改善するはず」と思っているが、「組織システムとしてマ ーケティングをインスト ールしない限りは 、ほとんど意味がない」。また、「その強力なマ ーケタ ーが広告や売り方を改善するという狭い領域のみで 、経営者にとって都合よく活躍してくれるだろうという間違った期待」を持っている。結論としては、「会社の重要な意志決定を消費者の代理人であるマ ーケタ ーに委ねる覚悟もないのに 、消費者プレファレンスにおいて勝ちにいく会社を夢想するのはやめた方が良いということです」。

さらに、「マーケティングデ ータの質が高くとも 、それを分析して活用しようとするマ ーケティング実務担当者側に問題があったのです 。エンタ ーテイメント企業の文化でしょうか 、マ ーケティング実務担当者の傾向として 、次から次に新しいものをやることに興味と情熱が湧きます 。しかし 、終わったことをきっちりと分析して 、学びを抽出して次に活かすという姿勢が 、当時は不足していたように見えました 。」「意識改革のために 、それを 『やりっぱなし文化 』と名付けて 、マ ーケティング組織からの撲滅を目指したのです。」と続きます。

点数の悪いテストを振り返るのは、小学生でもイヤなこと。どんな組織でも、失敗は闇に葬りさられる傾向にあることがよくわかります。

森岡さんはこの本の最後に「日本人は 、もっと合理的に準備してから 、精神的に戦うべき」と言います。この本を執筆したのも、USJで実践した「勝ち方」を惜しげもなく紹介することで多くの日本人に参考にしてもらえれば、日本全体の「勝率」があがるはず、という信念があったからだそう。この姿勢にもすごく感動します。森岡さんはまだ43歳だそうなので、USJを離れたあとは、日本の「プレファレンス」を上げるために、活躍していただけたらなあと思います。

顔をあげて。そばにおるで。~尼崎市の就労促進相談員の仕事~

著者は兵庫県尼崎市で「就労促進相談員」をしていた林美佐子さんという人。就労が可能な年齢(15歳~64歳)で生活保護を受けている人たちに、働いてもらえるようにさまざまなサポートをするお仕事だとか。

 

以前にケースワーカーの人の仕事ぶりを紹介した本「実録! 熱血ケースワーカー物語」を読んだことがあるので、生活保護受給者のサポートをする市役所で働く人たちの仕事ぶりについてはなんとなく把握していたのですが、「就労促進相談員」の人たちは、そのケースワーカーの人たちと連携しながら市役所で働くスタッフではあるが、手取り月給15万ほどの契約社員だそう。

林さんは二人のお子さんを育てるシングルマザーでもあり、収入も多くないため、ご本人も社会的には「弱者」に分類されるのでは、と本書にも記してありました。

 

生活保護といえば、落ちるところまで落ちた人がもらうもの、というイメージがありますが、病気やけがである日突然働けなくなることは誰にでもあるものだからこそ、市役所に相談できる窓口があったり、相談できる人がいるということはすごく大切なことだよなあ、とこの本を読めば心から思います。

 

病気やケガで、どうしようもない気持ちを抱えている人、「どうして自分だけこんなにつらいんだろう?」みたいな気持ちが頭から離れなくて落ち込んでしまう人は、読んでみると気持ちが晴れるかもしれません。私も、子どもがまだ赤ちゃんだった頃に父がなくなり、母がうつ病になり、自分も白血病になって、「なんで自分ばっかりこんなに辛いんだろう?」とよく暗い気持ちになっていました。この本の中には、もっともっとすごい状況でも、前向きに生きている人がたくさん登場します。不幸とは人と比べるものではないけれど、それでも、「生きていればいろんなことがあるよなあ」と、狭まった視野を広げてくれるのではないでしょうか。

あん

 「あん」とはどら焼きのあんこのことを言うようです。

惰性でどら焼き屋さんをしている主人公のところに、不思議なおばあさんがやってきて、アルバイトをさせてくださいというので、一緒に働くことになったら、おばあさんの作るあんこがめちゃくちゃおいしくて、お店も繁盛するようになったけど、おばあさんの持つ病気のことがきっかけで、だんだんとお客が減っていき…というようなあらすじ。

 

この物語に出てくるおばあさんは「ハンセン氏病」という病を抱えていて、隔離施設の中で暮らしています。病気で手や顔の形がおかしくても、頑張っていきていれば、木々や月の声が聞こえてくるようになって、それからは生きる意味がわかるようになったというお話でしたが、私も白血病という病を抱えていきているので、いわたさんが私にこの本を薦めたのはなんとなくわかったような気がしました。

 

命に係わる病気や、治療法のない病気を抱えている人は、読んでみてもいいかもしれません。

 

外国語を身につけるための日本語レッスン

日本の公立小学校では国語の授業といえば「漢字」「音読」「感想文」などが中心だと思います。担任の先生によって、力の入れ具合も全然違っていたり、教える内容も違っていたり、かなり感性よりな授業というイメージがありました。

しかし、ヨーロッパでは随分違うようです。ヨーロッパの母国語の授業(日本でいう「国語」の授業)では、論理的な文章を書くトレーニングや抽象画を見て言語に変えるトレーニングなど、「言語技術」と呼ばれる、非常に具体的なメソッドを習得する時間になっているそう。

社会人になってから、自分の日本語のスキルの低さに相当苦労をした私は、ヨーロッパの母国語の授業のように具体的なことを教えてほしかったものだと、すごく過去の国語の授業や先生を恨んだものでした。

なので、母語での言語技術が低い日本人に向けて、言語技術を身に付ければ、外国語が上手に身に付けられるようになる、というのが、著者の主張です。

この本を読んでから、なんとなく話すのではなく、常に自分が話している文章や書いている文章の主語は何で目的語は何か、論理がまともに展開しているかなど、より意識するようになり、特に子どもと話すときは、主語や目的語を省略せずに話したりを意識するように変わりました。

話はそれますが、外国語を学ぶには日本語の土台が必要なため、英語の早期教育はいろんな弊害が多いから、10歳過ぎてからくらいでいいじゃないかなあって思います。

こじらせない離婚―――「この結婚もうムリ」と思ったら読む本

結婚している人なら、一度は「離婚」の二文字が頭をよぎることがあると思います。

 

私も産後、夫とよく喧嘩したり、

私に偏りがちな育児の負担でイライラして、情緒不安定になることがよくありました。

そういうときに、私には頼れる実家がなかったので

離婚したら、一人でたくましく生きていかなきゃいけないと思うと

離婚なんてしないほうがいいよな、とよく自分の突っ走りがちな性格をストップさせていました。

 

書店でたまたま手に取ったこの本は、著者が多くの離婚相談にのってきた経験から出る、優しさの感じられる文章に惹かれて、立ち読みでは我慢できずに購入しました。

 

この本を読んで気が付いたのは、「子どもがいたら、離婚しても、子どもの父親とは一生、協力しあって生きていかなければいけない」ということでした。離婚してもしなくても、育児に置いて二人が協力しなければならないのは、変わらないことなんだな、というのがよく理解できました。

 

それからは、夫をなるべく嫌いにならないように、自分の感情に意識を置くように、私も変わったのでした。

 

子どもがもう4歳を過ぎると、随分産後の情緒不安定な感じもなくなり、また、何ども夫と衝突するたびに、お互い少しずつ成長したようで、小さくはありますが、一歩一歩、結婚生活を積み重ねていけているように、今では感じることができるようになりました。

 

夫婦関係でモヤモヤしている方、ぜひ読んでみてください。

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

外資系のコンサルティング会社「マッキンゼー」で、コンサルタントと人材採用をしていた伊賀さんの本。

少し前に読んだ「ちきりん」の本と同じ「生産性」がテーマ。

伊賀さんの前著「採用基準」を読んだのは育休中でした。
すごい内容に引き込まれて興奮しながら、あっという間に読んで、「わたしもマッキンゼーで働きたかったなあ」と思ったものでした。

マッキンゼーで働くことはなかったけど、前著を読んでから、わたしは「リーダーシップ」についての考えを改めたようで、(前著はリーダーシップについての考え方が書いてあった)仕事のあらゆる面で、リーダーシップについて意識するように、スタンスが変わっていた気がします。

この「生産性」という本も、読めば必ず仕事へのスタンスが変わる本だと感じました。

多くの日本のビジネスマンにぜひ読んで欲しいなあ。